Letter

地球:カルデラ火山における10年から月単位の時間スケールでのマグマ移動とマグマだまりの成長

Nature 482, 7383 doi: 10.1038/nature10706

カルデラを形成する火山噴火は、数十から数千立方キロメートルのマグマを数時間から数日の時間スケールで爆発的に放出することができ、地域から全球のスケールで壊滅的影響を及ぼす、頻度は小さいが影響の大きい事象である。そのような噴火が長い準備段階から監視されたことはないので、前兆的現象はよく分かっていない。米国のイエローストーンやイタリアのカンピ・フレグレイなどのカルデラで最近の不安定期間の際に得られた地球物理学的信号は解釈が困難で、大規模噴火に必要な条件は絞り込まれていない。今回我々は、紀元前1600年後半に起きたギリシャのサントリーニ火山のカルデラを形成した「ミノア」噴火から得られた、化学的に分帯された結晶を用いて、噴火前のマグマ過程とその時間スケールについての研究を行った。その結果から、大規模な珪長質系が静穏期から噴火の瀬戸際へどの程度速く移行する可能性があるかについての手がかりが得られた。噴出したマグマが大量(40〜60立方キロメートル)であり、ミノア噴火とそれ以前の主要な噴火との間には18,000年の静穏期があるにもかかわらず、ミノア・マグマ中の結晶のほとんどは噴火前約100年以内に起きた過程を記録している。大量の珪長質マグマ(および苦鉄質マグマ)によるマグマ溜まりの再充填は、噴火前の100年間に起こり、多様な珪長質マグマ群の間の混合は最後の数か月間にもまだ起きていた。大規模な珪長質マグマ溜まりの最終的な形成は、それに先立つ静穏期間と比較すると地質学的にきわめて短い時間スケールで起こった可能性があり、主要な成長段階は噴火の直前に起きている。このような観測は、長期間にわたって静穏状態にあるが、活動する可能性のあるカルデラ系の監視にかかわってくる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度