Letter 構造生物学:KCNHチャネルのカルボキシル末端領域の構造 2012年1月26日 Nature 481, 7382 doi: 10.1038/nature10735 イオンチャネルのKCNHファミリーは、ether-à-go-go(EAG)、EAG関連遺伝子(ERG)、EAG様(ELK)カリウムチャネルのサブファミリーなどからなり、心臓の活動電位の再分極や、神経の興奮性の調節、およびがん細胞の増殖にきわめて重要である。KCNHチャネルのカルボキシル末端領域は、CNBHD(cyclic-nucleotide-binding homology domain)や、CNBHDを小孔につなぐC–リンカーを含んでいる。C–リンカー/CNBHDはKCNHファミリーのイオンチャネルの、正常な機能と輸送に必須である。しかし、KCNHチャネルの機能にとってC–リンカー/CNBHDが重要であるにもかかわらず、C–リンカー/CNBHDによるイオンチャネル調節の構造基盤はよくわかっていない。今回我々は、ゼブラフィッシュELKチャネルのC–リンカー/CNBHDの分解能2.2 Åでの結晶構造を報告する。ELKチャネルのC–リンカー/CNBHDの全体構造は、近縁の過分極活性化環状ヌクレオチド調節(HCN)チャネルの環状ヌクレオチド結合ドメイン(CNBD)の構造と似ているが、顕著な相違がいくつかある。HCNのCNBDとは違って、ELKのCNBHDは負に帯電した静電プロファイルを示しており、これによって環状ヌクレオチドによるKCNHチャネルへの結合と調節がない理由が説明できる。環状ヌクレオチドの代わりに、結合ポケットは短いβストランドで占められている。βストランドの変異により、活性化の電位依存性がより脱分極した電位へと変化し、βストランドがELKチャネルのCNBHDの内在性リガンドであることが示唆される。ELKとHCNチャネルの両方で、C–リンカーは、C末端領域でほぼすべてのサブユニット間相互作用部位である。しかし、ゼブラフィッシュELK構造では、C–リンカーの再配向があり、そのためサブユニットは、HCNチャネルで観察されるような四量体ではなく、二量体を形成している。これらの結果から、C–リンカー/CNBHDによるKCNHファミリーのイオンチャネルの調節機構を解明するための構造的枠組みが与えられ、特異的な薬剤の設計に結びつく可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る