Letter 医学:エストロゲン受容体結合の差異は乳がんの臨床転帰と関連する 2012年1月19日 Nature 481, 7381 doi: 10.1038/nature10730 エストロゲン受容体α(ER)は大部分の乳がんの特徴的で駆動的な転写因子であり、その標的遺伝子は細胞増殖と内分泌反応を指令しているが、ER機能のゲノムレベルの解明はいまだモデル系のみに限定されている。本論文では、異なる臨床転帰を示す患者由来の乳がん原発病巣と、ER陽性の遠隔転移巣から、クロマチン免疫沈降とそれに続くハイスループット塩基配列解読(ChIP-seq)により、ERの結合状態を全ゲノム的にマッピングした。薬剤抵抗性のがん細胞でもERはクロマチンに動員されるが、ER結合は動的な過程で、再発しやすい患者の腫瘍では独特なER結合領域を獲得していることがわかった。原発腫瘍の臨床転帰の不良に関連している、この獲得されたER調節領域は、ER陽性腫瘍に限って臨床転帰を予想する遺伝的特徴であることがわかった。転帰不良の患者の腫瘍で見られる特異なER結合プログラムは、まれな腫瘍細胞亜集団が選択されたからではなく、FOXA1が仲介して急速な時間スケールで起こるER結合の再プログラム化によっていることが見いだされた。薬剤抵抗性細胞という状況でERとFOXA1の結合が並行して再分布することは、転移巣サンプルで組織学的にERとFOXA1が共発現していることにより裏付けられる。原発腫瘍試料で転写因子マッピングを確立することにより、ER結合能には可塑性があり、臨床転帰の違いと関連する異なるシス調節エレメントの組み合わせがあることが示される。 Full Text PDF 目次へ戻る