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生化学:コリプレッサーとイノシトールテトラリン酸に結合したHDAC3の構造

Nature 481, 7381 doi: 10.1038/nature10728

ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は新たな抗がん剤標的である。HDACはヒストン尾部のリシン残基からアセチル基を除くことによって遺伝子発現を調節しており、クロマチン凝縮を引き起こす。クラスIのHDACのほとんどについて、その酵素活性には多数のサブユニットからなるコリプレッサー複合体への組み込みが必要であり、複合体は次いで抑制性転写因子によりクロマチンへ動員される。今回我々は、HDACとコリプレッサーの複合体、つまり、ヒトSMRTコリプレッサー(NCOR2としても知られる)由来のデアセチラーゼ活性化ドメイン(DAD)と結合したヒトHDAC3の構造を報告する。その構造から、2つの注目すべき特徴が明らかになった。第一は、SMRT-DADは複合体を形成する際に大規模な構造再編成を起こすこと、第二は重要なイノシトールテトラリン酸分子であるD–myo–イノシトール–(1,4,5,6)–テトラキスリン酸(Ins(1,4,5,6)P4)がこれら2つのタンパク質間に存在して、「分子どうしをくっつける糊」として働いていることである。複合体の集合は、Ins(1,4,5,6)P4に明らかに依存しており、Ins(1,4,5,6)P4は調節因子として働いている可能性がある。イノシトールリン酸とそのキナーゼは転写調節因子として働いていることが見いだされているが、このことはその説明となるかもしれない。このHDAC3活性化機構は、クラスIのHDACで酵母からヒトまで保存されているように見え、新規治療法への道が開かれる。

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