Letter 生態:生物系の回復速度は転換点までの距離を反映する 2012年1月19日 Nature 481, 7381 doi: 10.1038/nature10723 複雑系が1つの状態から別の状態へ突然移行する「転換点」は、周知のとおり予測が難しい。理論では、転換点の早期警戒信号が、転換点へ近づくにつれて小さい摂動からの回復速度がゼロに近づく傾向があるという現象に基づいて予測される可能性が考えられている。しかし、これが生物系で起こっていることを裏付ける証拠は得られていない。今回我々は、臨界照射光レベルを超えた場合に光阻害がシアノバクテリア集団を古典的な転換点に押しやるような、微小生態系を用いて、そのような「臨界減速」の検証を行った。幅広い条件下で、系が臨界点に近づくにつれて、小さい摂動からの回復が遅くなることが明らかになった。また、系の状態のわずかな揺らぎに見られる自己相関は、転換点に向かって増大しており、この数値が減速の間接的な指標として使用可能であるという考えが裏付けられた。確率性のため、臨界遷移の時期の予測はできないが、今回の結果から、臨界減速という指標は、複雑系を回復力が高いものから回復できない脆弱なものまでの幅広いスケールでランク付けするのに使えると思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る