Letter 物理:シリコンベースの二重量子ドットにおけるコヒーレントな一重項–三重項振動 2012年1月19日 Nature 481, 7381 doi: 10.1038/nature10707 シリコンは従来型のマイクロエレクトロニクス産業における主要材料であるだけでなく、新たに生まれつつある量子情報技術のためのホスト材料としても有望である。標準的な製造法により、シリコントランジスタ型デバイスでの単一電子スピンの分離がすでに可能になっている。これは他の材料でも可能だが、シリコンベースの方が核スピンとの相互作用が弱いという利点がある。このような相互作用を低減することはスピン量子ビットを制御する上で重要となる。それは最近のGaAs量子ドットでの実験で見られるように、核の揺らぎが量子位相コヒーレンスを制限するためである。複雑な制御により核のデコヒーレンス効果を低減する技術は進展したが、それでもバルクシリコン結晶中の不純物に束縛された電子の大きな集団についての実験に比べれば大幅に短いコヒーレンス時間しか得られていない。本論文では、非ドープSi/SiGeヘテロ構造中の2個の結合した量子ドットにおける電子スピンのコヒーレント制御の結果を報告し、この系の核誘起のデフェージング時間が360ナノ秒になることを示す。これはGaAs量子ドットで行われた同様の測定の結果をほぼ2桁上回る長さである。観測された位相コヒーレンスの度合いは、高速のゲートされた電気的初期化、読み出しおよび制御と組み合せれば、これからのシリコンベース量子情報プロセッサー開発を促すものとなるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る