Letter 細胞:還元的カルボキシル化は異常ミトコンドリアを持つ腫瘍細胞の増殖を支える 2012年1月19日 Nature 481, 7381 doi: 10.1038/nature10642 増殖中のがん細胞では、ミトコンドリア代謝によって高分子の生成に必要な前駆体が供給される。通常、正常に機能している腫瘍細胞ミトコンドリアでは、グルコースおよびグルタミンに由来する炭素の酸化的代謝によって、腫瘍形成に必要な脂質合成のためのクエン酸とアセチル補酵素Aが生成される。しかし、腫瘍の中には、クエン酸回路(CAC)あるいは電子伝達系(ETC)に、ミトコンドリアの正常な酸化的機能を失わせる変異を持つものがあり、そのような腫瘍由来の細胞では、高分子合成の前駆体をどのように作り出しているのかはわかっていなかった。本論文では、異常ミトコンドリアを持つ腫瘍細胞は、クエン酸生成の主要経路として、酸化的代謝ではなく、グルタミン依存性の還元的カルボキシル化を用いることを示す。この経路では、NADP+/NADPH依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼのミトコンドリアおよび細胞質のアイソフォームが使用され、次に、グルタミンに由来するクエン酸の代謝によって、脂質合成のためのアセチル補酵素Aおよび、CACのそれ以外の代謝産物や関連する高分子前駆体の生成に必要な4炭素中間産物の両方が供給される。この還元的グルタミン依存性経路は、ETCの複合体Iあるいは複合体IIIに変異を持つ急速に増殖中の悪性細胞、フマル酸ヒドラターゼに変異を持つ患者由来腎がん細胞、およびETCの薬理学的急性阻害を受けた正常ミトコンドリアを持つ細胞では、代謝の主要な形式である。我々の知見は、さまざまな目的に利用できるグルタミン依存性経路の新規誘導を明らかにするものであり、この経路は、ミトコンドリア代謝が異常な場合に、正規のCACの多くの反応を回復させ、腫瘍細胞の増殖を助け、また、細胞がCAC中間産物プールを作り出す仕組みの説明となる。 Full Text PDF 目次へ戻る