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脳:コカイン誘発性シナプス増強の解除で、薬物による適応行動は消退する

Nature 481, 7379 doi: 10.1038/nature10709

薬物が誘発するシナプス可塑性は、多くのシナプスに見られ、薬物依存症の適応行動の基盤機構になっている可能性がある。その機構の探求は、まず薬物の分子標的の同定から始まる。例えばコカインは、ドーパミン輸送体を抑制して中脳辺縁系のドーパミン量を著しく増加させることで、強化作用や初期神経適応作用を発揮している。それに続いて関与する多くのシグナル伝達系のうち、側坐核内の細胞外シグナル調節性キナーゼ(ERK)のリン酸化は、特に関心を集めており、その理由は、これがNMDA受容体および1型ドーパミン(D1)受容体に依存したシナプス増強や複数の行動適応に関係しているとされているからである。しかし、同定されたシナプスでの薬物誘発可塑性と行動適応の間の因果関係は確認されておらず、伝達の基底状態への復元が有益なことはいまだに確認されていない。今回我々は、コカインが、マウスでD1受容体を発現する中型有棘ニューロン(D1R-MSN)の興奮性伝達を増強することを見いだした。その増強はERKシグナル伝達を介しており、これには運動過敏と平行する経時変化が見られた。また、 in vivoで皮質から側坐核への入力を光遺伝学的に脱増強すると、通常の伝達が回復してコカイン誘発性の運動過敏も消失した。これらの知見は、D1R-MSNに選択的に見られるシナプス増強が、おそらく側坐核内の複数の異なるMSN集団間の不均衡を生み出すことによって、薬物依存の中核症状の基盤機構の1つになっていることを示している。今回のデータは、コカイン誘発性のシナプス可塑性の解除によって、依存薬物がもたらす行動変化を治療できることの原理証明にもなっており、脳深部刺激や経頭蓋磁気刺激などの新たな治療法につながる可能性がある。

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