Letter 細胞:がん幹細胞とそのニッチの間の相互作用は転移増殖を支配する 2012年1月5日 Nature 481, 7379 doi: 10.1038/nature10694 遠隔臓器での転移巣の増殖はがんによる死亡の主な原因である。転移の進行は多段階の過程で、いくつかの律速段階がある。腫瘍細胞の播種は早期に頻発する事象のようであるが、転移巣の増殖開始の成功は、多くの種類のがんで効率が低く、遠隔部位に到達するがん細胞のうち達成できるのは少数のみである。標的部位が広く存在することは多くの腫瘍の特徴であり、遠隔組織で十分な支持が得られないことが転移過程の効率の低さの原因と考えられる。本論文では、転移増殖(つまり、二次部位でのがん細胞の増殖開始)にはがん幹細胞の小集団がきわめて重要であること、また、この増殖過程に間質ニッチのシグナルが必須であることを示す。細胞外マトリックスの構成要素であるperiostin(POSTN)は、正常組織や原発性腫瘍の間質の繊維芽細胞で発現していることがわかった。浸潤腫瘍細胞が定着を開始するためには、二次標的器官(今回の場合は肺)の間質にPOSTNの発現を誘導する必要がある。POSTNはがん幹細胞の維持を可能にするために必要であり、POSTNの機能を遮断することで転移が防止される。POSTNはWntリガンドを動員し、その結果、がん幹細胞でWntシグナル伝達を増加させる。我々は、浸潤腫瘍細胞による間質細胞の教育は転移増殖の重要な段階であり、de novoのニッチ形成防止が転移性疾患の治療の新規戦略となる可能性があると考える。 Full Text PDF 目次へ戻る