Letter 細胞:BCL6を分解へと誘導するFBXO11は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫で不活性化されている 2012年1月5日 Nature 481, 7379 doi: 10.1038/nature10688 BCL6は、ヒトB細胞リンパ腫の発症にかかわるとされている原がん遺伝子の産物である。BCL6は、特異的なDNA配列に結合することによって、B細胞の発生、分化、活性化にかかわるさまざまな遺伝子の転写を制御する。成人のリンパ腫の中で最も多く、悪性度の高いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の大多数でBCL6が過剰に発現されており、またB細胞で構成的にBCL6を発現するトランスジェニックマウスは、ヒトの症例によく似たDLBCLを発症する。多くのDLBCL患者の場合、BCL6の過剰発現は転座(約40%)やそのプロモーターの高頻度変異(約15%)によるが、その他の多くのDLBCLでは、BCL6の過剰発現の仕組みはまだ解明されていない。今回我々は、BCL6がオーファンF–ボックスタンパク質FBXO11を含むSKP1–CUL1–F–ボックスタンパク質(SCF)ユビキチンリガーゼ複合体によるユビキチン化の標的となり、プロテアソームによる分解を受けることを明らかにする。FBXO11をコードする遺伝子が複数のDLBCL細胞株で欠失あるいは変異していることが見いだされ、このFBXO11遺伝子の不活性化は、BCL6量の増加と安定性の上昇と相関していた。同様に、原発性DLBCLでもFBXO11が欠失あるいは変異していた。腫瘍由来のFBXO11変異体では、BCL6の分解を誘発する能力が損なわれていたことは重要である。FBXO11欠失DLBCL細胞でFBXO11の発現を回復させると、BCL6のユビキチン化と分解が促進され、細胞増殖が阻害され、細胞死が誘発された。FBXO11欠失DLBCL細胞によって免疫不全マウスでは腫瘍が形成され、FBXO11発現を回復させると腫瘍の形成が抑制された。我々はBCL6の安定性を制御する分子機構を明らかにし、FBXO11の変異や欠失は、BCL6の安定化を介してリンパ腫形成に寄与するという説を提案する。DLBCLに見られる欠失/変異は、主として対立遺伝子の一方に起こっているため、FBXO11はハプロ不全な腫瘍抑制遺伝子であることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る