Letter 生化学:黒海海底の微生物層から得られた、メタンを嫌気的に酸化するメチル補酵素M還元酵素の構造 2012年1月5日 Nature 481, 7379 doi: 10.1038/nature10663 硫酸塩によるメタンの嫌気的酸化(AOM)は、微生物学で現在多くの関心を集めている分野であり、この過程はメタン酸化古細菌(ANME)と硫酸還元菌とのコンソーシアにより達成される。メタン酸化古細菌のメタン活性化にかかわる酵素は、メタン生成古細菌でメタン生成段階を触媒するメチル補酵素M還元酵素(MCR)の相同体だろうとされている。今回我々は、280 kDaのヘテロ六量体である、ANME-1のMCR複合体のX線構造を報告する。この複合体は、硫酸塩を使うAOMを触媒する黒海海底微生物層から潜水艇により集められた微生物コンソーシア由来で、それから精製されたタンパク質集団だけから結晶化された。異なる成分を含む試料から成長した結晶は、分解能が2.1Åに達し、1種類のANME-1・MCRしか含まない集団からなっていて、結晶化の選択力の強さを示している。その構造から、ANME-1・MCRが補酵素Mおよび補酵素Bと複合体を形成していることが示され、メタン酸化古細菌とメタン生成古細菌由来のMCRの基質が同じであることが示された。ANME-1・MCRとメタン生成MCRは非常によく似た構造を持つが、F430修飾、システインに富むパッチ、変更された翻訳後アミノ酸修飾パターンなどが異なっている。これらは、生物学的状況に応じてこれら酵素の機能を微調整しているのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る