Letter

医学:HIV感染に対する、ベクター介在免疫予防法による抗体を用いる防御

Nature 481, 7379 doi: 10.1038/nature10660

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する効果的なワクチンの開発という目標は、多大な努力にもかかわらず、達成困難であることが明らかになってきている。しかしながら最近、広まっているHIV株のほとんどを中和できる抗体が数多く同定されている。これらの抗体はすべて、異常に高いレベルの体細胞変異を示すが、これは進化し続ける抗原に持続的に暴露されている際の強い親和性成熟のためと思われる。よく似たエピトープを標的とする抗体をde novoで誘導できる免疫原の設計にかなりの努力が注がれているが、従来のワクチンが既存の広範囲中和抗体と類似したものを誘導できるかどうかは定かでない。免疫感作に代わる方法として、ベクターを介した遺伝子移入を使えば、既存の広範囲中和抗体の血中への分泌を操作できるかもしれない。今回我々はこの手法の実際化について報告する。我々がベクター介在免疫予防法(vectored immunoprophylaxis;VIP)と名付けた方法では、マウスに1度筋肉内注射をするだけで、これらのモノクローナル抗体の高濃度の発現を生涯にわたって誘導できる。これは、筋肉組織から全長の抗体を産生するように最適化された、特殊なアデノ随伴ウイルスベクターの働きによっている。VIPを投与されたヒト化マウスは、非常に多量の複製可能ウイルスを静脈内投与された場合でもHIV感染から完全に防御されるように見えることを示す。今回の結果は、ヒトへの応用が成功すれば、この方法はHIVに対する効果的な予防法になりうることを示唆している。

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