Letter 細胞:マシャド・ジョセフ病患者のニューロンにおける興奮誘導性ataxin3凝集形成 2011年12月22日 Nature 480, 7378 doi: 10.1038/nature10671 マシャド・ジョセフ病(MJD、別名脊髄小脳失調症3型)は、優性遺伝形式をとる遅発性神経変性疾患であり、MJD1遺伝子(別名ATXN3)におけるポリグルタミン(polyQ)をコードするCAG反復配列の伸長を原因とする。MJD1遺伝子産物ataxin 3(ATXN3)の保護的配列から高い凝集形成能を持つpolyQ断片がタンパク質分解によって遊離することによって、MJDの神経病理の特徴であるATXN3含有凝集形成が引き起こされると考えられている。ATXN3断片は、MJD患者およびヒトATXN3(Q71)変異を発現するトランスジェニックマウスの脳組織で検出され、その発現量は疾患の重症度にしたがい増加するため、ATXN3プロセシングと疾患進行が相関することが裏付けられる。早期凝集中間体形成は、疾患発症に重要な役割を持つと考えられているが、MJDで働く正確な病理機構は不明である。今回我々は、患者特異的誘導多能性幹細胞(iPSC)由来ニューロンで、L–グルタミン酸誘発性興奮がATXN3のCa2+依存性タンパク質分解と、これに続くSDS非可溶性凝集形成を惹起することを示す。この表現型はカルパイン阻害により消失するため、ATXN3凝集形成にこのプロテアーゼが重要な役割を果たすことが確認される。凝集形成はさらに、機能的Na+チャネル、K+チャネル、およびイオンチャネル型および電位作動性Ca2+チャネルに依存し、iPSC、繊維芽細胞、あるいはグリアでは観察されないことから、この疾患がニューロン特異的表現型をとる理由の1つが説明される。我々の結果は、iPSCの使用によって、患者特異的ニューロンで遅発性神経変性疾患に伴う異常なタンパク質プロセシングの研究が可能になることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る