Letter 物理:量子気体における軌道励起ブロッケードとアルゴリズム冷却 2011年12月22日 Nature 480, 7378 doi: 10.1038/nature10668 相互作用ブロッケードは、閉じ込められた少数多体系の強い相互作用によって、他の場合には占有できる量子状態を、粒子が占有できなくなる際に起こる。ブロッケード現象によって、量子系に内在する粒子性が明らかになり、電子、スピン、原子、光子などの構成粒子の検出や操作が可能になる。ブロッケードの応用には、電子クーロンブロッケードに基づく単一電子トランジスタやリュードベリ原子の量子論理ゲートが挙げられる。本論文では、極低温原子が光格子中で軌道を遷移するときに起こる相互作用ブロッケードについて報告する。我々はこれを軌道励起ブロッケード(OEB)と命名した。この系では、同じ格子サイトにある原子は、相互作用の強さが原子の軌道波動関数に強く依存する接触相互作用で記述されるコヒーレントな衝突を起こす。我々は、格子の深さを変調してコヒーレントな軌道励起を誘起し、変調周波数を調整して、相互作用で分裂した共鳴を横切る際に階段状の励起挙動を観測している。OEBの応用として、量子気体のアルゴリズム冷却を実証している。すなわち、OEBに基づく可逆的な一連の量子操作によって、この系の一部からエントロピーを分離し、次に不可逆的な手段で気体からそのエントロピーを除去する。この方法によって、量子気体を冷却して、強相関電子系の量子シミュレーションに必要なきわめて低いエントロピーにできる。また、OEBとリュードベリ原子の双極子ブロッケードがよく似ていることから、自然なスケーラビリティがある量子計算アーキテクチャに2量子ビットゲートを実装する方法が得られる。 Full Text PDF 目次へ戻る