Letter 免疫:自己抗原に対する応答は組織に制御性の記憶を刷り込む 2011年12月22日 Nature 480, 7378 doi: 10.1038/nature10664 組織の免疫恒常性は、組織特異的抗原に向けられた病的なT細胞応答とこのような応答を抑制する組織の能力との微妙なバランスによって成り立っている。組織と免疫系のコミュニケーションによって免疫恒常性が確立され、維持される機序は現在のところわかっていない。臨床研究からは、組織内の自己抗原に対する慢性的もしくは反復的暴露は、病的な自己免疫応答を軽減させることが示唆されており、これはおそらく炎症による損傷を軽減し機能を保持するための手段だと考えられる。ヒトの臓器特異的自己免疫疾患の多くは、初期症状が最も重く、その後の炎症は重症度がより低く、持続期間も短いという特徴がある。実際これらの病気は、組織での自己抗原発現は持続しているにもかかわらず、自然に寛解することも多い。抗原特異的免疫療法を行う場合には、アレルゲンや自己抗原が皮膚に繰り返し注射され、これらそれぞれへの連続的暴露後に生じる炎症応答は軽減していく。これらの知見は、組織が抗原に対する反復応答の際に自己免疫反応を減弱する能力を獲得することを示しているが、こうした現象が起こる機序は知られていない。今回我々は、末梢組織で自己抗原を発現させると、胸腺由来の制御性T細胞(Treg細胞)が活性化して増殖し、より強力な抑制性細胞へと分化して、それがマウスで臓器特異的自己免疫反応の寛解を仲介することを示す。炎症反応の寛解後、活性化したTreg細胞は標的組織内に維持され、抗原が再発現すると、プライミングされてその後の自己免疫反応を減弱させる。したがってTreg細胞は、標的組織に「制御性記憶」を与えるように機能する。これらの知見は、末梢組織で自己抗原への暴露が起こった際にTreg細胞が応答する仕組みを解明するための枠組みを与え、また組織がどのようにして自己免疫を制御するのか、その機序についての手がかりとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る