Letter 細胞:ヒトES細胞由来のドーパミンニューロンはパーキンソン病の動物モデルで効率的に生着する 2011年12月22日 Nature 480, 7378 doi: 10.1038/nature10648 ヒトの多能性幹細胞(PSC)は再生医療用の有望な細胞供給源である。PSCを脊髄の運動ニューロンあるいは中脳ドーパミン(DA)ニューロンなどの特殊化した細胞に分化させることは成功している。しかし、細胞治療にPSCを効果的に利用する試みは遅れている。マウスPSC由来のDAニューロンはパーキンソン病のモデルで有効性が示されているものの、ヒトPSC由来のDAニューロンのin vivoでの有効性は一般に低い。また、PSCには、奇形腫形成能、つまり神経系細胞過剰増殖の可能性に関連した安全性についての大きな懸念もある。本論文では、in vivoで効率的に生着するヒトDAニューロンを誘導する新規の底板ベースの戦略を示し、これまでの失敗はDAニューロンに特異的な脆弱性ではなく、不完全な特殊化にあったことを示唆する。ソニックヘッジホッグ(SHH)およびカノニカルWNTシグナル伝達の小分子活性化剤に暴露後11日目には、PSCから中脳の底板前駆細胞が誘導される。移植可能な中脳DAニューロンは25日目までに得られ、in vitroで数カ月間維持できる。大規模な分子プロファイリング、生化学的および電気生理学的データから、発生の進行が明らかになり、PSC由来の中脳DAニューロンであることが確認される。3つの宿主動物種を用いたパーキンソン病モデルで、in vivoでの生存と機能が示される。6–ヒドロキシドーパミンを用いたパーキンソン病のモデルマウスおよびラットでの長期間生着により、ヒト胚性幹細胞由来の中脳DAニューロンのロバストな生存、アンフェタミン誘発性回転行動の完全な回復、および前肢使用や運動不能のテストで改善が示された。さらに、スケーラビリティは、パーキンソン病サルへの移植によって実証された。3つの動物モデルで、DAニューロンの良好な生存や機能が示され、また、神経系細胞の過剰増殖も見られなかったことから、パーキンソン病の細胞ベースの治療法の開発に期待が持てる。 Full Text PDF 目次へ戻る