麻疹ウイルスは飛沫核感染ウイルスで、毎年小児1,000万人以上が罹患し、およそ12万人が死亡している。麻疹ウイルスは、播種前に気道上皮中で複製するとずっと考えられていたが、最近になって、SLAMF1(signalling lymphocytic activation molecule family member 1、別名CD150)を受容体として用いて、まず気道のマクロファージや樹状細胞に感染することが示された。これらの細胞は次いで、気道上皮を横断して、リンパ器官に感染をもたらし、麻疹ウイルスはそこで活発に複製する。麻疹ウイルスがどのようにして、またどこで上皮を横断して気道に戻ってくるのかは明らかになっていない。我々は、ウイルスを許容するヒト上皮性細胞株に選択的に発現する表面タンパク質の機能解析に基づいて、ネクチン4(別名PVRL4[poliovirus-receptor-like-4])が宿主側の放出受容体候補であることを突き止めた。免疫グロブリンスーパーファミリーに属するこのアドヘレンスジャンクションタンパク質は、その膜遠位ドメインを介して、麻疹ウイルスの付着タンパク質と高親和性で相互作用する。初代培養ヒト気道上皮細胞からなる分化の進んだシートに麻疹ウイルスを側底側から感染させると、ネクチン4は麻疹ウイルスの侵入と、細胞変性的影響を伴わない横方向への展開を維持する。ネクチン4は、マカクザル気管由来などの感染上皮細胞では発現が低下している。他のウイルスは宿主への侵入あるいは宿主上皮障壁の通過に受容体を利用しているが、麻疹ウイルスは気道中に出るためにネクチン4を標的とすると考えられる。ネクチン4は複数種のがんの細胞マーカーであり、このことは麻疹ウイルスを用いる腫瘍溶解に関する現在進行中の臨床試験と関係してくる。