Letter 生態:コウモリへのGeomyces destructansの実験感染は、白い鼻症候群を引き起こす 2011年12月15日 Nature 480, 7377 doi: 10.1038/nature10590 北米東部では最近、白い鼻症候群(WNS)が原因で多種類のコウモリが激減している。この病名は、新しく発見された真菌Geomyces destructansが冬眠中のコウモリの皮膚(鼻口部を含む)で増殖し、白く見えることに由来する。この菌が皮膚に定着することに関連する特徴的な皮膚病変が、WNSに一貫して見られる唯一の病理所見である。しかし、G. destructansがWNSに果たす役割については、この菌がWNSの根本原因であることを示す証拠がないため、意見が分かれている。哺乳類の真菌感染症には、ほとんどの場合免疫系の機能不全が関係していると思われていることも、議論が加熱する一因である。さらに最近、欧州のコウモリの皮膚にも一般的にG. destructansが定着しているが、コウモリの異常な大量死は報告されていないことから、この菌は日和見感染菌であって、まだ見つかっていない何らかの因子がWNSの根本原因なのではないかとの見方も出てきている。本論文では、健康なトビイロホオヒゲコウモリ(Myotis lucifugus)を純粋培養したG. destructansにさらすと、WNSが起こることを実証する。その後、WNSを発症したコウモリから生きたG. destructansが培養できたことは、確立された病原体決定基準を満たし、G. destructansが一次病原体であることが決定できた。また、感染したコウモリから、直接接触によって健康なコウモリにWNSが伝染することも確認された。これらの結果は、G. destructansがWNSの原因菌であることを示す初めての直接証拠であり、北米に最近WNSが出現したのは、菌に対する抵抗力のないコウモリの生息地域に、菌が持ち込まれたということを示しているのかもしれない。因果関係の実証は、WNSの発症機序および疫学の解明や、この深刻な感染症がもたらした新たな危機からコウモリを保護する管理活動を導くための有用な一段階となるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る