Letter 細胞:クロマチン結合性RNAi構成因子はショウジョウバエでの転写制御に関与する 2011年12月15日 Nature 480, 7377 doi: 10.1038/nature10492 RNA干渉(RNAi)経路は、遺伝子発現の重要な調節機構として進化してきた経路で、短い(21〜30塩基)RNAの活性を介してRNA標的分子の分解を行うことによって細胞質で働く。RNAiの構成因子は核内でも役割を果たすことが報告されており、これらの因子はエピジェネティックな調節やヘテロクロマチンの形成に関与している。しかし、RNAiを介した転写後の遺伝子サイレンシングについては多くの報告があるものの、RNAiを介した転写レベルでの遺伝子サイレンシング、特にクロマチン動態におけるRNAi構成因子の役割についてはよくわかっておらず、多細胞動物では特にわかっていない。本研究では、RNAiの主要構成因子であるDicer 2(DCR2)とArgonaute 2(AGO2)が、転写が活発なユークロマチン遺伝子座に対する強い選択性を持ってクロマチンと結合しており、転写装置の中核因子と相互作用することを示す。特に、DCR2やAGO2の機能喪低下は、転写異常がRNAポリメラーゼIIのプロモーター上の位置の乱れを伴うことを示している。さらに、熱ショック後、Dcr2とAgo2のヌル変異でも、RNAi活性の低下したミスセンス変異でも、RNAポリメラーゼIIの広範囲な動的変化が妨げられた。また、AGO2に結合した低分子RNAの大規模シーケンシング(AGO2 RIP-seq)を行ったところ、AGO2は非常に低分子RNAに富み、それらのRNAは熱ショック遺伝子座や他の遺伝子座のプロモーター領域などに由来する配列を含んでおり、しかもこれらはDNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方に由来するが、熱ショック後にはアンチセンス鎖に強く偏っていることが示された。以上より、DCR2とAGO2が転写の活発な遺伝子座に対して広範囲に相互作用することが明らかになり、またDCR2とAGO2がRNAポリメラーゼIIの伸長反応の制御によって、トランスクリプトームの形成に中心的な役割を持っている可能性が示される。 Full Text PDF 目次へ戻る