Letter 生理:異種複合体のテキサスサンゴヘビ毒は酸感受性イオンチャネルを標的として疼痛を引き起こす 2011年11月17日 Nature 479, 7373 doi: 10.1038/nature10607 不快感あるいは疼痛を引き起こす天然物質は、痛覚の基盤となる分子機構を探索する貴重な手段である。これに関しては、植物由来の刺激物質が圧倒的に多いが、動物の毒素も、ニューロンや受容体を標的としてその活性化によって侵害性知覚を引き起こすことにより捕食動物から身を守れるように進化している。そのため毒素は、疼痛シグナル伝達経路の重要な構成因子の特徴を調べたり、操作したりするのに使える低分子やタンパク質ファーマコフォアの豊富で多彩な供給源となっている。このことを念頭に置き、今回我々は偏りのないin vitroスクリーニングを行って、体性感覚ニューロンを活性化できるヘビ毒の同定を行った。咬まれると持続的な激痛が生じるテキサスサンゴヘビ(Micrurus tener tener)の毒素は、大量の知覚ニューロン群を興奮させる。精製した活性物質(MitTx)は、クニッツ型タンパク質およびホスホリパーゼA2様タンパク質の異種複合体であり、両者が一緒になって酸感受性イオンチャネル(ASIC)の強力で持続的な選択的アゴニストとして機能し、酸性pHと比較して同等あるいはより強い効力を発揮する。MitTxは、中性pHではASIC1サブタイプに高い選択性を示し、より酸性状態(pH < 6.5)ではASIC2aチャネルのプロトン誘発性活性化を大幅に(> 100倍)増強する。以上の観察から、ASICチャネルが細胞外のプロトンや、他のまだ同定されていない内因性因子に対する同時検出器として機能する可能性が考えられる。精製MitTxは、マウスでカプサイシン感受性神経繊維上のASIC1チャネルを活性化することにより、ロバストな疼痛関連行動を引き起こす。以上の結果は、蛇毒が疼痛を誘発する機序を明らかにし、ASIC1チャネルの疼痛知覚に対する予想外の関与をはっきり示している。 Full Text PDF 目次へ戻る