Letter 構造生物学:温度走査低温結晶学的な構造解析法により明らかになったバクテリオフィトクロムの反応中間体 2011年11月17日 Nature 479, 7373 doi: 10.1038/nature10506 光は、生物の成長や概日リズムなどの重要な生理的過程を調節している基本的なシグナルである。フィトクロムは、植物や菌類、細菌での赤色光受容に関与する光受容体の重要なファミリーを形成している。フィトクロムは、赤色光吸収型(Pr)と遠赤色光吸収型(Pfr)の間で可逆的な光変換を起こし、それにより光シグナルは別の生物学的シグナルに変換され、それがその後の細胞応答を調節している。微生物のフィトクロムのいくつかについては、暗順応したPr状態、またはPfr状態の構造が決定されている。しかし、初期の光化学事象の構造的な性質は結晶学的には明らかになっていない。今回我々は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のバクテリオフィトクロム(PaBphP)の光反応中に生じる3種の反応中間体の結晶構造を報告する。低温トラッピング結晶法を用いて中間体を捕捉し、光反応が進行する温度の走査により構造変化を追跡した。PaBphP中で光誘起されるコンホメーション変化はビリベルジン(BV)発色団のDリングで始まり、CリングとDリングの間のC15 = C16二重結合におけるE–Z異性化が最初の光化学事象である。発色団が緩和するにつれ、C15メチン橋での2つの二面角のねじれが元に戻る。構造変化はさらにBリングやAリングへ、そして周囲のタンパク質領域へと広がっていく。これらのデータは、PaBphPのPfr状態による光子吸収が、タンパク質キャビティ中に閉じ込められた直線状のテトラピロールのメチン橋のねじりと戻りを介して、光シグナルを構造シグナルに変換することを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る