運動ニューロン疾患の1つで幼児死亡の遺伝的原因の首位を占める脊髄性筋萎縮症(SMA) は、SMN1(survival motor neuron 1)遺伝子の機能喪失変異によって生じる。ヒトにはSMN2というパラログがあるが、エキソン7はほとんどスキップされ、SMN2から発現する完全長の機能性SMNタンパク質の量は限られているためにSMN1の欠失を補うには不十分である。SMNは、スプライソソームの核内低分子リボ核タンパク質粒子の生合成に重要だが、病因に関与する下流スプライシングの標的は、特定できていない。効果的なSMA治療はないものの、脊髄運動ニューロンにおけるSMN修復は必要十分であろうと考えられている。最近、重篤なSMAマウスモデルおよび患者において、心血管障害などの中枢神経系(CNS)以外の症状が報告されており、自律神経障害または心臓組織への直接的影響が示される。本論文では、重篤なマウスモデルでSMNの全身とCNSでの回復を比較した。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の1つであるASO-10-27の使用では、脳室内投与後に運動ニューロンでSMN2スプライシングが効果的に修正され、SMN発現が回復する。新生マウスにASO-10-27を全身投与すると、重篤なSMAがロバストに救済され、その効果は脳室内投与よりずっと大きく、皮下注射によって寿命中位数が25倍に延長した。さらに新生児期のSMAマウスは肝臓のIgfals発現が低下し、血中インスリン様増殖因子1(IGF1)が顕著に減少するが、ASO-10-27を投与するとIGF1が正常レベルに戻った。これらの結果は、肝臓がSMAの発症に重要なことを示唆しており、SMNの末梢組織における重要性を強調するとともに、有望な薬剤候補の1つの有効性を証明している。