Letter 物理:ナノ機械振動子の量子基底状態へのレーザー冷却 2011年10月6日 Nature 478, 7367 doi: 10.1038/nature10461 結合した質量–ばね系からなるものが標準的な簡単な機械振動子は、弱い力や小さい質量の検出など、さまざまな高感度測定に用いられている。古典振動子では、運動の振幅が明確に決まっているが、量子振動子には最低エネルギーの状態、つまり基底状態があり、これには零点運動に対応する有限な振幅の不確定性が伴っている。我々が日常経験する巨視的なスケールでは、ゆらぎの大きい熱環境との相互作用があるため、機械振動子は多数のエネルギー量子に満ちており、その量子的性質はほとんど隠れてしまっている。最近、100分の数ケルビンの温度で行われた実験では、電気回路と結合した人工ナノ機械共振器がその量子基底状態において振動していることが測定されている。このような実験は、数十億個の原子からなるメソスコピック系の基礎となる量子挙動への手がかりとなるだけでなく、量子計測を行う手法や、ハイブリッド量子系を結合させる手段としての機械デバイスの使用に向けた最初の段階となる。本論文では、シリコンマイクロチップに形成された、結合したナノスケールの光・機械共振器の開発について報告する。この共振器では、レーザーからの放射圧を使って、機械運動をその量子基底状態(平均フォノン占有数が0.85±0.08個に達する)まで冷却する。この冷却は環境温度20 Kで実現され、この温度はこれまでの実験よりもほぼ1,000倍高く、量子領域でのメソスケール機械振動子の光制御への道を開くものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る