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医学:SVAレトロトランスポゾンによる病的エキソントラッピングと福山型筋ジストロフィーの救済

Nature 478, 7367 doi: 10.1038/nature10456

福山型筋ジストロフィー(FCMD; MIM253800)は、日本で最も一般的な常染色体劣性疾患の1つであり、祖先で起こった原因遺伝子へのSINE-VNTR-Alu(SVA)レトロトランスポゾン挿入が発症原因であることが明らかにされた最初のヒト疾患である。FCMDでは、fukutin遺伝子の3′非翻訳領域(UTR)にSVAが挿入されている。FCMDの発症機序は明らかにされておらず、有効な臨床的治療は存在しない。今回我々は、SVAのエキソントラッピングによって誘導された異常なメッセンジャーRNA(mRNA)スプライシングがFCMDの分子病態の基盤にあることを示す。mRNAの定量的解析の結果、FCMD患者の転写産物に欠損している領域の存在が明示された。この領域は、フクチンをコードする領域の3′末端部分、3′UTRの近位側、およびSVA挿入部位にまたがっている。それに相当して、FCMD患者およびSVAノックイン・モデルマウスでは、fukutin mRNAの転写産物は予測される長さより短いものであった。塩基配列の解析からは、SVA上の強力な受容部位と、fukutinエキソン10上のまれな選択的供与部位とによって引き起こされる異常なスプライシング現象が明らかになった。それによって生じる生成物は、フクチンのカルボキシ(C)末端が切断され、SVAによってコードされる129個のアミノ酸が追加されたものとなる。FCMD患者およびモデルマウスの細胞への、スプライス受容配列、予測されるエキソン内スプライシング促進配列およびイントロン内スプライシング促進配列を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)の導入は、SVAによる病的エキソントラッピングを防ぎ、正常なfukutin mRNAの発現とタンパク質産生を救済した。AONによる処置により、α-ジストログリカン(α-DG)のO-グリコシル化やα-DGによるラミニン結合などの、フクチンの機能も回復した。さらに、疾患(高コレステロール血症、神経脂質蓄積症)に関連する他のSVA挿入、また新規遺伝子でのヒトに特異的なSVA挿入でエキソントラッピングが観察された。したがって、SVAへのスプライシングはすでに知られていたが、我々はSVAを介したエキソントラッピングがヒトの疾患に対して及ぼす影響を明らかにし、スプライシングを制御する治療は、FCMDなどのSVA介在疾患に対する最初の根治的治療法となる見込みがあることを示した。

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