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細胞:ATPが引き起こすヘリカーゼの滑りから明らかになったサブユニットの高度な協調

Nature 478, 7367 doi: 10.1038/nature10409

ヘリカーゼは、二本鎖の核酸の複製や修復、組換えの際に二本の鎖を分離する役割を担う重要な酵素である。バクテリオファージT7の遺伝子産物4は、一本鎖(ss)DNAに沿って5′から3′方向へと移動しながら二本鎖(ds)DNAをほどいていく典型的な六量体ヘリカーゼで、その際dTTPを用いるがATPは用いない。このヘリカーゼの別々のサブユニットが、移動の際に化学-機械活性とDNA結合を協調させているのかどうか、また、その仕組みがどのようなものかについては、まだ議論が続いている。今回我々は、この問題に取り組むために、単一分子計測によってヘリカーゼによるDNA鎖の分離を観察した。T7ヘリカーゼは実はATPの存在下でもdsDNAをほどく働きをしており、DNA鎖分離速度はdTTPを用いる場合よりも速いほどだった。しかし、DNA鎖をほどく過程にはギザギザのパターンが顕著に見られ、これは連続的にほどいていく過程が急な滑って戻る現象によって繰り返し中断されることを示しており、このためにヘリカーゼは十分な長さをほどくことができない。このような挙動はdTTPだけを使う場合には観察されず、ATP溶液に少量のdTTPを加えてやっても大幅に抑えられる。この知見に啓発されて、ヌクレオチド混合物を使ってヘリカーゼ・サブユニットの協調を調べた。T7ヘリカーゼはATPとdTTPに対して拮抗的に結合・加水分解し、速度論的には、DNAをほどく速度は単純にそれぞれの最高速度Vmax、ミカエリス定数KMおよび濃度によって決まる。これに対して連続反応性は単純な拮抗型挙動はとらず、ヌクレオチド濃度への協調的な依存が見られる。これは、各サブユニットが独立して機能する非協調的機構とは一致せず、ほぼすべてのサブユニットが化学-機械活性とDNA結合を協調させているというモデルを裏付けている。これらのデータは、ヌクレオチドを受けいれるのは1回につき1個のサブユニットに限られ、その間、他のサブユニットはヌクレオチドの結合した状態を保っているため、DNAと相互作用ができて連続反応性が確保されることを示している。このようなサブユニットどうしの協調は多くの環状ヘリカーゼに共通する可能性があり、これから、複製の際にDNA鎖の分離を調節する仕組みと思われるものが明らかになる。

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