血圧は、いくつかの生物学的経路の影響を受け、環境からの刺激に応答する遺伝性の形質である。世界の10億人以上が高血圧(収縮期血圧140 mm Hg以上、あるいは拡張期血圧90 mm Hg以上)である。血圧のわずかな上昇でさえも心血管イベントのリスク増加に関連している。この収縮期および拡張期の血圧についての全ゲノム関連研究は、ヨーロッパ系の20万人を対象に多段階の研究計画を用いたもので、16個の新規遺伝子座が同定された。このうちの6座位には、血圧を調節することがこれまでに知られていたか推測されていた遺伝子(GUCY1A3–GUCY1B3、NPR3–C5orf23、ADM、FURIN–FES、GOSR2、GNAS–EDN3)が含まれている。また、これら以外の10座位は血圧の生理学的性質に関する新しい手がかりをもたらすものである。全ゲノム解析で有意水準に達する29個の多型に基づく遺伝学的リスクスコアは、高血圧、左心室壁厚、脳卒中および冠動脈疾患に関連付けられたが、腎疾患あるいは腎機能とは関連しなかった。また、東アジア系、南アジア系およびアフリカ系の人々でも、血圧とこれらの多型のうちのいくつかとの関連が見いだされた。我々の知見は、血圧の遺伝学的また生物学的性質を理解するための新しい手がかりとなり、また、心血管疾患防止のための新規治療法の可能性を示唆している。