Letter 細胞:新生オルニチンデカルボキシラーゼアンチザイムによるポリアミンの感知が、アンチザイムmRNAの解読を促進する 2011年9月22日 Nature 477, 7365 doi: 10.1038/nature10393 ポリアミンは重要な有機ポリカチオンで、細胞分裂やがん、老化に関係した多くの細胞機能を担っている。ポリアミン合成の調節は、主にオルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)の活性をODCアンチザイムがかかわる独特な機構で制御することによって行われており、ODCアンチザイムが結合するとODCホモ二量体が壊れ、ユビキチンに依存しない26S プロテアソームによる分解の標的になる。哺乳類は数種類のアンチザイム遺伝子を発現しているが、我々は、分裂酵母Saccharomyces cerevisiaeで1個のオルソログを同定し、OAZ1と名付けた。対応する哺乳類アンチザイムと同様に、OAZ1の合成は細胞内ポリアミン濃度が上昇すると誘導される。またポリアミン濃度上昇によって、OAZ1タンパク質のユビキチン依存性分解も阻害される。これらの機構が合わさって、ポリアミンの恒常性を維持するフィードバック調節に寄与している。アンチザイムの合成には、メッセンジャーRNAの解読の際に内部のSTOPコドンのところで起こる、+1リボソームフレームシフティング(RFS)という保存された過程がかかわっている。今回我々は、酵母のOAZ1を用いて、ポリアミンによるRFS調節の基盤となる不可解な機構を詳しく分析した。これまでの推定とは対照的に、合成されてできた新生アンチザイムポリペプチドがポリアミンセンサーの役割を果たし自身のmRNAを翻訳しているポリソーム上でシスに作用し、上流でのRFSを負に調節することがわかった。ポリアミンレベルが低いときには、リボソームから出てくるアンチザイムポリペプチドが自身の合成の完了を阻害し、リボソームがアンチザイムmRNA上に停滞する。一方、ポリアミンが新生アンチザイムに結合すると、アンチザイムの合成完了が促進される。したがって、今回の研究で、小型の代謝産物が新生センサータンパク質に結合するとこのセンサータンパク質の合成が促進されるという、翻訳の際に働く新しい自己調節機構が明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る