Letter 構造生物学:古典的内向き整流性カリウムチャネルKir2.2のPIP2による活性化の構造的基盤 2011年9月22日 Nature 477, 7365 doi: 10.1038/nature10370 特異的に働く脂質分子によるイオンチャネル活性の調節は、細胞での電気シグナル伝達の不可欠な構成要素であることが広く認められている。特に、細胞膜中の量が少ないとはいえ、強力な機能を持つリン脂質成分である、ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PIP2)は、多数のさまざまなイオンチャネルを調節することが知られている。PIP2は、古典的内向き整流性(Kir2)チャネルの主要なアゴニストであり、PIP2はそれによって細胞の静止膜電位を調節できる。しかし、PIP2がその作用を発揮する分子機構はわかっていない。今回我々は、PIP2の短鎖(ジオクタノイル)誘導体と複合体を形成したKir2.2チャネルのX線結晶構造を示す。PIP2は、膜貫通ドメイン(TMD)と細胞質ドメイン(CTD)の界面に結合していることがわかった。このPIP2結合部位は、TMD中の保存された非特異的リン脂質結合領域とCTD中のホスファチジルイノシトール特異的結合領域から構成されている。PIP2が結合すると、柔軟な伸張リンカーがコンパクトなヘリックス構造へと収縮し、CTDが6 Å移動してTMDへつながれた形になり、内側ヘリックスのゲートが開き始める。これとは対照的に、小型の陰イオン性脂質であるジオクタノイルグリセロールピロホスファチジン酸(PPA)は、非特異的TMD領域には結合するが、ホスファチジルイノシトール特異的な領域には結合せず、したがってCTDを引き込んだり、チャネルを開いたりすることはできない。我々の結果は、PIP2が、特異的なイオンチャネル–受容体–リガンド相互作用を介して静止膜電位の調節を可能にする仕組みを明らかにしており、こうした相互作用により、シナプスのイオンチャネルの神経伝達物質による活性化と類似した、大きなコンホメーション変化が引き起こされる。 Full Text PDF 目次へ戻る