Letter

進化:飼養される線虫Caenorhabditis属種の平行進化はフェロモン受容体遺伝子を標的とする

Nature 477, 7364 doi: 10.1038/nature10378

進化は予測可能な遺伝的軌跡をたどる場合があり、そのことから、個々の環境変化がそれぞれ再現性のある遺伝的変化を選択する可能性が示唆されている。同種個体の存在は、動物が棲む環境の重要な特性の1つであり、選択圧の源の1つとなる可能性がある。今回我々は、飼養環境で一般的な「高密度での増殖」という条件に対するCaenorhabditis属の線虫2種の適応が、フェロモン受容体遺伝子の再現性のある遺伝的変化によって生ずることを明らかにした。高密度での増殖時に蓄積するフェロモンを介した化学的コミュニケーションによって、線虫の若齢幼虫は、寿命は延びるが生殖能力を持たない耐性期に入る。高密度で増殖させた2系統のCaenorhabditis elegansは、フェロモン誘導性の耐性幼虫形成に対する多重遺伝子的な抵抗性をそれぞれ独自に獲得した。いずれの系統でも、フェロモンであるアスカロシドC3に対する抵抗性は、隣接する化学受容体遺伝子serpentine receptor class gsrg-36および-37を破壊する欠失によって生じた。誤発現実験により、この2つの遺伝子は、アスカロシドC3の重複するGタンパク質共役受容体をコードしていることが明らかになった。耐性幼虫形成に対する多重遺伝子的な抵抗性は、別の線虫種であるCaenorhabditis briggsaeの高密度飼養でも生じ、これはsrg-36およびsrg-37とパラロガスなsrg遺伝子1個の欠失が一因であった。今回の結果は、特定の環境に対する適応の1つとして化学受容体レパートリーが迅速に再構築されることを実証したものであり、一般的な遺伝的基質の1つに平行的変化が起こると種全体の生活史形質に影響する場合があることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度