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化学:極端に長いアルカン炭素-炭素結合の不安定性を分散力で克服する

Nature 477, 7364 doi: 10.1038/nature10367

化学における立体効果は、原子や基を分子内に収容するのに必要な空間によってもたらされ、電子密度の重なりに起因する斥力(パウリ斥力)に支配されると考えられている。だが、化学結合と反応性を十分理解するためには、ファン・デル・ワールス力(ロンドン分散力を含む)などの引力相互作用を評価する必要がある。このことは、激しい議論が交わされた直鎖アルカンよりも分岐アルカンの安定性が高くなる原因や、並外れて長いC-C単結合を持つ炭化水素が立体的な混み合い(steric crowding)を通して合成される可能性といった例を挙げれば明らかであろう。C-C結合に関する結合距離/結合強度の経験的関係(C-C結合が長いと結合解離エネルギーが小さくなる)は確立されているが、この関係には理論的根拠がない。それにもかかわらず、1960年という早い時期にポーリングによってまとめられ、最近確認されたように、この経験的考察は、化学における構造やエネルギーに関する評価の基礎となっている。今回我々は、きわめて長いC-C結合(最長で1.704 A)を持つ炭化水素の合成について報告する。これは、これまでアルカンで観察された中で最長の結合である。合成された化合物は意外に安定であり、200 °Cを超えないと目立った分解は起こらない。我々は、ダイヤモンドイドと呼ばれるダイヤモンドに似たナノメートルサイズの非常に堅固な構造体を結合させてアルカンを合成した。この結合生成物の並外れた安定性は、分子内H•••H接触面間の全体的な引力分散相互作用に起因する。このことは、分散補正を行った場合と行わなかった場合の密度汎関数理論計算の結果から明白である。

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