Article 脳:情報処理と社会機能の不全をもたらす新皮質の興奮/抑制バランス 2011年9月8日 Nature 477, 7363 doi: 10.1038/nature10360 自閉症や統合失調症のような精神疾患での重篤な行動障害は、神経微小回路内の細胞の興奮から抑制を引いた差(E/Iバランス)が増大するために起こるとする仮説がある。この仮説によって、さまざまな病態生理学的および遺伝学的証拠を統合できるが、これまで直接検証することができなかった。今回、自由行動中の動物で、細胞E/Iバランス仮説について原因と結果を区別して検討するため、新しい光遺伝学手法を設計し、それによってこの問題に関連のある回路の生理学的性質の変化を調べた。マウス内側前頭前野でのE/Iバランスを増大させると、細胞での情報処理に重大な障害が起こり、またそれと関連して特定の行動障害が起こること、30〜80ヘルツ帯域の高振動数出力が増すことがわかったが、減少させた場合にはこうした事象は見られなかった。これらは患者の臨床所見と同じである。抑制性細胞の興奮を代償性に上昇させると、E/Iバランス増大によって起こる社会的障害を部分的に抑えることができ、これはE/Iバランス仮説と一致していた。これらの結果は、重篤な神経精神病関連症状に関する細胞E/Iバランス増大仮説を裏付けるものである。 Full Text PDF 目次へ戻る