Letter 遺伝:ゲノム塩基配列から明らかになったタイセイヨウマダラの独特の免疫系 2011年9月8日 Nature 477, 7363 doi: 10.1038/nature10342 タイセイヨウマダラ(Gadus morhua)は、低温適応した大型硬骨魚で、長年にわたって商業漁業の土台となり、また初期水産養殖を支えている。本論文では、タイセイヨウマダラのゲノム塩基配列を示し、そのヘモグロビン遺伝子クラスターでの複雑な温度適合や、塩基配列が解読された他の脊椎動物と比べて独特な免疫構造についての証拠を明らかにする。ゲノムアセンブリは、ショットガン法とペアドエンド・ライブラリーとを組み合わせて使う454シークエンス法だけによったもので、自動アノテーションによって22,154個の遺伝子が同定された。主要組織適合複合体(MHC)IIは、有顎脊椎動物の適応免疫系で保存されている特徴だが、タイセイヨウマダラは、この経路の機能に不可欠なMHC II、CD4およびIi(invariant chain)の遺伝子を失っている。それにもかかわらず、タイセイヨウマダラは自然状態では疾患への感受性が非常に高いわけではない。我々は、MHC I遺伝子の数が非常に多くなっていること、そしてそのToll様受容体(TLR)ファミリーの構成が独特であることを見いだした。このことは、タイセイヨウマダラの免疫系が、適応免疫と自然免疫の両方で、MHC IIの非存在下でどのように代償機構を進化させてきたかを示している。今回の結果は、脊椎動物の適応免疫系とその構成要素の進化についての基本的仮説に影響を及ぼす。 Full Text PDF 目次へ戻る