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遺伝:チョウの擬態を制御する多型性の超遺伝子は、染色体再配列によって維持されている

Nature 477, 7363 doi: 10.1038/nature10341

複数の遺伝子座が密に集まった超遺伝子(supergene)は、適応的変異の共分離を促進し、複数の複雑な適応表現型の統合的制御を可能にする。単一個体群内で特定の形質の組み合わせが維持されている多型性の超遺伝子が最初に報告されたのは、サクラソウ属(Primula)およびソバ属(Fagopyrum)の花の長花柱花(ピン型)と短花柱花(スラム型)についてであるが、昆虫の擬態および腹足類の形態にも典型例が見つかっている。このように共適応を遂げた遺伝子セットを生じる進化的機構の解明は、不適応な組み換え型の出現を制限する仕組みの解明とともに、重要な難問となっている。今回我々は、多型性の擬態を示すヌマタドクチョウ(Heliconius numata)の翅パターンのモルフ(同一種内の変異型)のそれぞれが、超遺伝子座Pでのそれぞれ異なるゲノム再配列と関連していることを明らかにする。このような再配列によって、近縁種では組み換えが起こることが知られている、少なくとも2つの色彩パターン遺伝子座の遺伝的連鎖が強まっていた。また、実験的な交配では、少なくとも18個の遺伝子を含む40万塩基の区間にわたって組み換えの完全な抑制が観察された。自然個体群では、P領域全体にわたって連鎖不平衡(LD)の顕著なパターンが見られた。それによって生じた発散性のハプロタイプ・クレードおよび逆位切断点は、翅パターンのモルフと完全に相関していることがわかった。今回の結果は、翅パターン形成に関与する既知の遺伝子座での対立遺伝子の組み合わせが、P遺伝子座の多型性の再配列で一括して固定化され、同所的に見られる複雑な複数の適応表現型を切り替える単純なスイッチとして働く超遺伝子を形成していることを示している。この知見は、ゲノム再配列が、組み換えおよび遺伝子流動を局所的に制限することで、協調的に働く複数の遺伝子がかかわる適応表現型の共存に中心的な役割を果たせるようになる仕組みを明らかにしている。

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