Letter 環境:窒素の豊富な基岩がもたらす森林生態系の炭素貯蔵量と窒素貯蔵量の増加 2011年9月1日 Nature 477, 7362 doi: 10.1038/nature10415 窒素は、世界中の多くの生態系の生産性を制限しており、大気へのCO2放出量増加の影響を陸上生態系が自然に打ち消す能力を制限していると言える。そのため、生物が利用可能な窒素の流入経路を明らかにすることは、陸地の炭素貯蔵量、特に温帯および亜寒帯の森林におけるそれを予測するうえできわめて重要である。栄養の循環と制限に関するパラダイムは、新たな窒素が大気のみから陸上生態系に流入することを前提としている。今回我々は、基岩が、生態学的に利用可能な窒素の森林への供給源であるが、これまで見過ごされてきたことを示す。窒素を多く含む変成堆積岩(350〜950 mg N kg−1)上の土壌と森林由来の葉の窒素含有量は、窒素の少ない火成母材(30〜70 mg N kg−1)の上にある同様の温帯林地点と比較すると、50 %以上多いことがわかった。窒素同位体の天然存在比は、この差が岩石由来の窒素によるものであることを示しており、窒素の多い岩石の上にある地点では、岩石、土壌、植物の15N/14N値がきわめてよく似ていて、基質の窒素が少ない地点とは大きく異なっている。さらに、土壌母材の窒素が多い森林では、樹木の地上部のバイオマスに含まれる炭素が、窒素の少ない岩石の上にある同様の地点に比べて平均42 %多く、地表から深度30 cmまでの土壌に含まれる炭素も60 %多い。今回の結果から、基岩の窒素の流入が、他の地域での生態系窒素と炭素の循環においても、見過ごされてきた重要な要素である可能性が出てきた。 Full Text PDF 目次へ戻る