初期宇宙の化学組成は、水素、ヘリウムと微量のリチウムからなっており、他の元素のほとんどすべては、その後の星や超新星で生成した。ヘリウムよりも重い元素の質量比 Z は、「金属量」として知られている。金属量の非常に低い星が多数発見され、その一部は鉄の存在度は低いものの、炭素、窒素や酸素は豊富である。理論から、またZ<1.5×10−5の星が観測されないことから、低質量星の始原的な星間媒質からの形成は、星間媒質の金属量がZの臨界値を超えた後でないと不可能であると考えられており、臨界値は1.5×10−8から1.5×10−6の間と推定されている。しかし、これとは逆の考え方をする競合理論も存在している。(ここで使われている「低質量」は、現在まで生き残っている星の、太陽質量の0.8倍未満の質量を意味する。)本論文では、銀河ハロー中にあってZが非常に小さい星(≤6.9×10−7)、太陽の4.5×10−5倍に相当)の化学組成、および極度に金属の欠乏した古典的な星、つまり炭素、窒素および酸素に汚染されていない星に典型的に見られる化学組成パターンについて報告する。このことは、低質量星が非常に低い金属量、つまりZの臨界値以下でも形成されうることを示している。リチウムは検出されず、リチウムの欠乏についてこれまで観測された傾向をさらに延長した、低い金属量を示唆している。このようなリチウム欠乏は、星を構成する物質がその歴史の中で、リチウムの破壊に不可欠である200万ケルビン以上の温度を経たと考えられることを意味している。