Letter 考古:アシュール文化の発祥は従来の推定より古い 2011年9月1日 Nature 477, 7362 doi: 10.1038/nature10372 アシュール文化は、先史時代の技術複合体として最初に明らかにされたものの1つであり、成型した両面加工石器が特徴である。この文化はおそらくアフリカで生まれ、約100万年前という早い時期には欧州およびアジアに広がっていた。アシュール文化の発祥は、ヒトの脳の進化で大きな変化が生じたのとほぼ同時期と考えられており、こうした脳の変化によって一層の技術的発展が可能になったのだろう。しかし、140万年以上前の遺跡で年代が確定されたものはほとんど存在しないため、アシュール文化の出現時期はいまだ不明である。本論文では、Nachukui累層(ケニア・西トゥルカナ)のKokiselei 4遺跡の石質遺物群および地質学的状況について報告する。この遺跡には、初期アシュール文化の特徴を持つ石器が含まれており、この石器時代の技術が最初に出現した年代はこれまでの推定よりも古く176万年前となる。さらに、Kokiseleiの複合遺跡でオルドヴァイ文化とアシュール文化の人工物が一緒に出土したことは、この2つの技術は、発達しつつある1つの文化系統の中の時系列上、両立しえない要素ではなかったことが示され、アシュール文化は、未発見の別の場所から持ち込まれたか、さもなければこの近傍でオルドヴァイ文化を担っていた人類が生み出したと考えられる。いずれにせよ、アシュール文化は、その当時に存在はしていたものの、アフリカからの最初の人類分散に伴って拡がることはなかった。このことは、石器製作行動および分散戦略が異なることで区別される複数の人類集団が176万年前のアフリカに共存していたことを示すのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る