Letter

医学:HIVの細胞間伝播は抗レトロウイルス療法にもかかわらず複製の継続を可能にする

Nature 477, 7362 doi: 10.1038/nature10347

潜伏性と複製の継続は、ともに抗レトロウイルス療法の間に維持されるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の薬剤非感受性リザーバーの説明となると考えられてきた。本論文では、抗レトロウイルス療法中にも進行するHIV複製の新規な機序について調べた。我々は、1細胞あたりの多重感染によって、薬剤耐性変異を必要とせずに薬剤感受性が低下するというモデルを考案し、治療薬テノフォビルの存在下で無細胞性HIVを細胞ごとに多重感染させることによって、実験的にこのモデルを検証した。次に、標的細胞ごとに多重感染現象を引き起こすことができるHIV伝播様式であるHIVの細胞間伝播の薬剤感受性を調べた。無細胞性ウイルスによって生じた感染は、抗レトロウイルス剤テノフォビルおよびエファビレンツの存在下で大幅に低下するが、細胞間伝播による感染は、これらの薬剤に対して著しく感受性が低い。この感受性の低下だけで、薬剤の存在下でも複数回の感染が中断を免れるのに十分である。確率的感染モデルを使って臨床で使われる濃度の薬剤の存在下で細胞間伝播による複製を調べ、複製は間欠的であり、変異の大量の蓄積がないことがわかった。もし細胞間伝播がin vivoでも同じ性質を持つならば、これは免疫系に有害な結果をもたらして、危険因子を持つ患者で治療の失敗につながる可能性があり、ウイルスの生存維持を助けてHIV感染の治癒を妨げるかもしれない。

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