物理:形状依存性キャピラリー相互作用によるコーヒーリング効果の抑制
Nature 476, 7360 doi: 10.1038/nature10344
液滴を固体表面上で乾燥させると、液に懸濁していた粒子状物質が環のように堆積する。この現象はコーヒーリング効果として知られており、コーヒーの液滴が乾くのを観察したことがある人なら誰でもよく知っている。乾燥過程において、液滴の縁は固体基材にピン止めされ、蒸発が進むにつれ、液滴の中心部から外側へ向かうキャピラリー流が懸濁粒子を縁へと運ぶ。蒸発後、懸濁粒子は元の液滴の縁に沿って高濃縮状態で残される。コーヒーリング効果は、大型のコロイドからナノ粒子や個々の分子に至るまで、さまざまな成分の系で現れる。実際、印刷や生物学、複合体形成の分野では均一コーティングが使われることが多いにもかかわらず、この効果は非常に広く見られるために回避が困難だった。今回我々は、懸濁粒子の形状が重要であり、これを利用してコーヒーリング効果を回避できることを実験的に示す。楕円体粒子は、蒸発中に均一に堆積する。このような粒子では、その異方的形状によって界面が大きく変形するため、強い粒子間キャピラリー相互作用が生じる。したがって、楕円体粒子では、球形粒子の場合にコーヒーリング効果を生じるのと同じ外向き流によって空気–水界面に運ばれた後に、その強い長距離粒子間引力によって、空気–水界面で緩く充填された構造、すなわちアレスト(arrested)構造が形成される。これらの構造によって、懸濁粒子が液滴の縁に到達することが妨げられるため、均一な堆積が起こる。興味深いことに、適切な条件の下では、球形粒子と少量の楕円体粒子が混ざった懸濁液でも均一な堆積が起こる。したがって、粒子形状は粒子や溶媒の化学的性質を変えなくても粒子の堆積を制御できる便利なパラメーターとなる。

