Letter

細胞:β酸化回路を逆進させて燃料および化合物の合成に用いる

Nature 476, 7360 doi: 10.1038/nature10333

高級な(長鎖の)バイオ燃料や化合物は、短鎖の代謝中間体から炭素鎖伸長を必要とする経路を介して産生される。この炭素間結合の形成を仲介する縮合反応は、β-ケトアシル-アシルキャリヤータンパク質(ACP)合成酵素類、ポリケチド合成酵素類、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA合成酵素類や生合成にかかわるチオラーゼなどのチオラーゼスーパーファミリーに属する酵素によって触媒されうる。このような酵素を含む経路は、燃料や化合物の産生に利用されてきており、脂肪酸生合成経路(β-ケトアシルACP合成酵素類)が最近最も注目を集めている。また、チオラーゼスーパーファミリーに属し、自然界では脂肪酸のβ酸化に働く分解性チオラーゼも、合成方向に働かせることができるため、炭素鎖伸長が可能である。本論文では、β酸化回路の機能を逆転させると、炭素鎖長や機能が多様なアルコールおよびカルボン酸の合成のための代謝的プラットフォームとして利用できることを明らかにする。この経路はコエンザイムA(CoA)チオエステル中間体を介して働き、アシル鎖延長にアセチルCoAを直接使っていて、ATP依存性のマロニルCoA活性化を最初に必要としない。この特性によって、炭素およびエネルギーの効率を最大にして産物合成を行うことが可能になる。大腸菌(Escherichia coli)を操作してβ酸化回路を逆進させ、大腸菌に内在するデヒドロゲナーゼとチオエステラーゼを組み合わせて用いることで、n-アルコール、脂肪酸および3-ヒドロキシカルボン酸、3-ケトカルボン酸、trans-Δ2-カルボン酸が合成された。加工されたこの経路の優れた特徴は、高級n-アルコール(C≥4)や細胞外長鎖脂肪酸(C>10)をこれまでの報告より高い効率で産生したことで実証された。β酸化経路、アルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼやチオエステラーゼという酵素類は広範囲に存在するので、工業的に使われている他の微生物でもこのような産物の効率的な合成を行える可能性がある。

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