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細胞:リボソーム活性部位で見られる、基質に依存した異なる遷移状態

Nature 476, 7360 doi: 10.1038/nature10247

リボソームの活性部位であるペプチジルトランスフェラーゼ中心は、2つの反応を触媒する。すなわち、ペプチジルtRNAとアミノアシルtRNAの間でのペプチド結合形成と、終結因子に依存して起こるペプチジルtRNAの加水分解の2つである。ペプチド結合形成とは異なって、ペプチドの放出は活性部位内のヌクレオチドの変異によって強く妨げられ、特にA2602位の塩基変化による阻害は著しい。ペプチドの放出には、基質であるペプチジルtRNAのA76の2′-OH基が重要な役割を果たしているようである。コンピューター解析によればこの2′-OH基は、協調された「プロトン・シャトル」にかかわっているらしい。プロトン・シャトルにより、ペプチド結合形成の現行の類似モデルと同様に、脱離基がプロトン化される。本論文では、大腸菌(Escherichia coli)リボソームの活性部位が触媒する2つの反応の速度論的溶媒同位体効果とプロトンインベントリー(緩衝液の重水素化水D2O含有量をしだいに増やしていき、その中で測定した反応速度)を報告する。終結因子2に依存した加水分解反応の遷移状態は、律速になっているのが強力な水素結合1個の形成であるという特徴を持つ。この知見は、加水分解反応の遷移状態に協調的なプロトン・シャトルが存在するとの見方に反する。それに対し、ペプチド結合形成のプロトンインベントリー計測では、律速となっているのは3個のほぼ均等に寄与する水素結合の形成であることが示された。これは、遷移状態における8因子による協調的プロトン・シャトルの存在と一致する。つまりリボソームは、ペプチジルトランスフェラーゼ中心で起こる2種類の反応について、異なった律速遷移状態を維持する働きをしている。

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