Letter 生理:ミトコンドリア内膜の40キロダルトンタンパク質はカルシウム単一輸送体である 2011年8月18日 Nature 476, 7360 doi: 10.1038/nature10230 ミトコンドリアのCa2+恒常性は、好気性代謝や細胞生存の制御できわめて重要な役割を果たすが、Ca2+ チャネルであるミトコンドリアカルシウム単一輸送体の分子実態はわかっていない。今回我々は、最近特性が明らかにされた単一輸送体調節因子MICU1(別名CBARA1)と組織分布が一致するタンパク質(MCUと命名)が、ミトコンドリアのCa2+取り込みが実証されている生物に存在し、その配列に2つの膜貫通ドメインを持つことをin silicoで突き止めた。HeLa細胞で短鎖干渉RNAによるMCUのサイレンシングを行うと、ミトコンドリアのCa2+取り込みが大幅に低下した。MCUを過剰に発現させると、イノシトール1,4,5-3リン酸を産生するアゴニストによって引き起こされるミトコンドリアマトリックスのCa2+濃度上昇が2倍になり、それによって細胞質のCa2+濃度上昇が大きく緩和される。精製MCUタンパク質は、平面脂質二重層でチャネル活性を示し、それに伴って単一輸送体の電気生理学的特性と阻害薬感受性が見られた。小孔形成領域と考えられる部分にある負に荷電した残基2つを置換した変異MCUはチャネル活性がなく、HeLa細胞で過剰発現させるとアゴニスト依存性のミトコンドリアマトリックスCa2+濃度の一過的上昇が減少した。総合すると、以上の結果は、今回同定された40 kDaタンパク質がルテニウムレッド感受性のミトコンドリアCa2+ 取り込みを担うチャネルであることを実証しており、生理や病態にきわめて重要な関連のあるこの過程の分子基盤を与えるものである。 Full Text PDF 目次へ戻る