Letter 物理:単一原子の内部状態のエネルギー交換を伴わない測定 2011年7月14日 Nature 475, 7355 doi: 10.1038/nature10225 測定では、測定を受けている量子状態が必ず変化する。この変化は反作用として知られている現象である。しかし、実際の測定ではほとんどの場合、量子力学の法則からの要求よりもずっと強い反作用が起こる。余分な反作用を、測定されるオブザーバブル(観測可能量)以外のオブザーバブル内に完全にとどめる量子非破壊測定が考案されている。しかし、他のオブザーバブルへの反作用は、それ自身の拘束を課してしまうことが多い。特に、単一の原子やイオンの自由空間光検出法(高感度で十分こなれた方法であるシェルビング法など)は分散領域でも必ず自然散乱が必要となる。そのため不可逆なエネルギー交換(加熱)が起こり、これが原子を使った量子情報処理での限界になり、そのキュービットの直接の再利用が未然に防がれる。量子力学ではこのようなエネルギー交換は必要ない。本論文では、1より著しく小さい数の自然散乱事象による原子キュービットの光学的検出を実験により実証する。我々は、この原子を含む光共振器の透過率と反射率を測定した。キュービットの検出自体に加えて、自然散乱がどれだけ起こるかも定量的に測定した。これによって、得られた情報を自然放出の量と関係付けることができ、平均として0.2個以下の光子の散乱で10パーセント以下の検出誤差を得た。さらに量子ゼノン型の実験を行って測定反作用を定量化し、入射する光子ごとにほとんど完全な状態収縮が起こることを見いだした。まとめると、これら結果は、自然放出事象が1以下の「エネルギー交換がない」領域において、量子測定を完全に実験により評価したことになる。基礎科学的関心に加えて、この方法によって、最近提案された中性原子の量子計算スキームが著しく簡単になり、また閉じた遷移がない分子と原子の高感度な検出が可能になると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る