Article 細胞:DicerはRNAの5′末端を認識して効率よく正確な処理を行う 2011年7月14日 Nature 475, 7355 doi: 10.1038/nature10198 RNAサイレンシングの顕著な特徴は、前駆体である二本鎖RNAからDicer(ダイサー)によって切り出されて生じる、22前後のヌクレオチドからなるRNAである。Dicerによる正確な処理は、マイクロRNA(miRNA)が機能するうえで不可欠である。現行のモデルでは、Dicerは二本鎖RNA末端の3′側の突出部から決められた距離を計測することによって、切断部位を選び出すと考えられている。今回我々は、ヒトDicerが3′末端だけでなく5′末端も固定しており、切断部位は主として5′末端からの距離(約22ヌクレオチド)によって決められている(5′計測ルール)ことを示す。この切断には、5′末端のリン酸基が必要である。また、ヒトDicerで、このリン酸化された5′末端を認識する新規な基本モチーフ(5′ポケット)を同定した。5′計測ルールと5′を固定する残基はショウジョウバエのDicer-1では保存されているが、ジアルジア属(鞭毛虫)のDicerでは保存されていない。5′ポケットに変異が起こると、in vitroで処理効率が低下し、切断部位が変更される。Dicerヌル胚性幹細胞にDicerの5′ポケットに変異の生じたDicerを補充すると、in vivoでのmiRNAの生成に異常が生じ、これはin vitroでの結果と一致している。したがって、Dicerによる5′末端の認識は、miRNAが正確に効率よく形成されるために重要である。今回の研究による知見は、低分子ヘアピン型RNAの設計にも実際に役立つと思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る