Letter 物性:ゼーベック・スピン・トンネルによる強磁性体からシリコンへの熱的スピン流 2011年7月7日 Nature 475, 7354 doi: 10.1038/nature10224 電流による発熱は電子デバイスや電子回路で広く見られるが、発熱によってエネルギー消費が増えるため、将来世代の高密度エレクトロニクスではますます問題になると考えられる。したがって、スピントロニクスを含む既存技術や新興技術にとって、熱の制御・再利用は重要なテーマとなる。最近、強磁性体内の熱の流れによって、スピン角運動量の流れ(スピン流)とそれに付随した電圧が発生しうることが報告された。このスピンゼーベック効果は、温度勾配のある金属、絶縁体および半導体の強磁性体で観測されている。今回我々は、従来とは明らかに異なる、純粋に界面的な性質を持つ熱スピン流であるゼーベック・スピン・トンネルを実証したことを報告する。これは、少なくとも片方の電極が強磁性体であるとき、温度の異なる電極間のトンネル・コンタクトにおいて生じる。ゼーベックスピン流は、トンネルスピン分極率のエネルギー微分係数によって決まる。我々は、強磁性体–酸化物–シリコン構造のトンネル接合を用いて、正味のトンネル電荷流を伴わずに強磁性体からシリコンへのスピンの熱的移動が起こることを観測した。誘発されたスピン蓄積は、加熱電力とともに直線的に変化し、温度差が反転すると符号が変わる。この熱スピン流を単独で、あるいは電気的スピン注入と組み合わせて使って、デバイス効率を向上させることができる。今回の結果は、スピントロニクスデバイスにおける熱輸送の設計を示し、熱の機能的利用を促進するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る