Letter 生物物理:1分子蛍光分析により明らかになったマルチドメインタンパク質での配列特異的な誤った折りたたみ 2011年6月30日 Nature 474, 7353 doi: 10.1038/nature10099 幅広い衰弱性疾患がタンパク質の誤った折りたたみと関連しており、誤った折りたたみは、特に多数のドメインを持つタンパク質で、機能するタンパク質を作り出す折りたたみと競合している可能性がある。真核生物のプロテオームの75パーセントはマルチドメインタンパク質からなるが、ドメイン間の誤った折りたたみを避ける仕組みについてはわかっていない。誤った折りたたみを避ける機構の1つとして提案されているのは、共有結合で結ばれたドメイン間で配列同一性を低く保つというものである。今回我々は単一分子フェルスター共鳴エネルギー移動測定により、天然状態のタイチンのIバンドに由来する、一列に並んだ免疫グロブリンドメイン群で起こるまれな誤った折りたたみ事象の検出と定量を行った。同一ドメインを持つ分子の約5.5パーセントがin vitroでの再度の折りたたみの際に誤って折りたたまれ、構造がほどかれるまでの半減期が数日という予想外に安定な状態を形成した。ヒトで見られる免疫グロブリン様ドメインが一列に並んだ配列では、隣り合ったドメイン間の配列同一性は、隣接しないドメイン間に比べて著しく低い。特に、隣接したドメインどうしの配列同一性は、選択的に40パーセント以下であることがすでにわかっている。我々の観察では、配列同一性が低く(24パーセント)、本来隣り合っているドメインが作る列では、誤った折りたたみは見られなかったが、同一性が42パーセントのドメイン間では誤った折りたたみが起こっていた。粗視化分子シミュレーションではドメインが置き換わった構造の形成が予測され、これは誤って折りたたまれた分子種で観測されるエネルギー移動効率と非常によく一致する。我々は、誤った折りたたみの原因となる相互作用は非常に特異的で、その結果として配列特異的なドメイン交換機構が生じると考える。隣接するドメイン間で配列を多様化することは、マルチドメインタンパク質での誤った折りたたみを避けるための進化的戦略として成功したものなのだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る