Letter 生態:ハトの群れ飛行にはコストがかかる 2011年6月23日 Nature 474, 7352 doi: 10.1038/nature10164 鳥類は飛行の際によく群れを形成するが、これには社会的意味合いや、航路決定および捕食者回避と密接なかかわりがあると考えられている。さらに、こうした群れ飛行には空気力学的な利点があって、飛行に要するエネルギーを少なくできる可能性もあり、これは、V字編隊で飛ぶペリカンでは心拍数や羽ばたき回数が減ることにより実証されている。しかし、群れ飛行による空気力学的エネルギーの削減は、どの程度一般的なことなのだろうか。V字編隊での飛行は、比較的大型の鳥類の適度に安定した飛行に限られており、特殊なケースである可能性がある。もっと普通に見られる「かたまり状」の群飛がもたらす空気力学的影響はどのようなものだろうか。今回我々は、全地球測位システム(GPS)と6自由度慣性センサーを搭載した革新的装置をハトの背中に装着して得たデータを用いて、以下のことを明らかにした。(1) ハトが飛行機のように出力を維持しながら体を傾けて旋回すると、背面に最大2 gの重力加速度がかかり、実質的に体重は倍加して、そこから導かれる所要出力は4倍になる。(2) 空気力学上の通常必要とされる出力すべてが増加するのに伴って、羽ばたき回数が増加する。(3) 他個体の近くを飛び、特にその後方に位置するときには、羽ばたき回数が増加する。したがって、ペリカンのV字編隊飛行とは異なり、ハトは群れで飛行することで空気力学的な利益を得ていない。それどころか、直接的な空気力学的相互作用のためか、あるいは飛行の安定性や姿勢制御が要求されるためか、羽ばたき回数は増加しており、密集したかたまり状の群飛にはかなりのエネルギーコストがかかっていることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る