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細胞:先天性角化不全症患者由来の誘導多能性幹細胞におけるテロメア短縮と自己複製能の喪失

Nature 474, 7351 doi: 10.1038/nature10084

患者由来の誘導多能性幹細胞(iPSC)を分化させて、ニューロン、筋肉、肝臓などにその運命を拘束することは、ヒトの発生や疾患の主要なパラメーターを解明する強力な手法である。しかし、未分化状態のiPSC自体が、疾患の機構を調べるために使えるかどうかはわかっていない。先天性角化不全症は、血液、肺組織および表皮組織の維持の欠陥が特徴であり、テロメア恒常性を制御する遺伝子の突然変異によって引き起こされる。短いテロメアは先天性角化不全症の特徴で、マウスモデルで組織幹細胞の機能を障害し、組織幹細胞の欠陥が先天性角化不全症の病態生理の基盤となっている可能性を示している。本論文では、先天性角化不全症患者由来のiPSCには、未分化状態でさえ、この疾患の各病型の特徴に正確に一致する生化学的欠陥が存在し、iPSCでのテロメア維持不全の程度が臨床的重症度と相関することを示す。テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)にヘテロ接合性変異を持つ患者由来のiPSCでは、テロメラーゼレベルの50 %の低下が、再プログラム化に伴う自然なテロメア伸長を鈍化させる。対照的に、X連鎖性先天性角化不全症で見られるジスケリン(DKC1)の変異は、テロメラーゼ組み立ての阻害によりテロメラーゼ活性を大幅に低下させ、再プログラム化過程でのテロメア伸長を妨げる。TCAB1(別名はWRAP53)の変異によって引き起こされる先天性角化不全症の病型の1つに由来するiPSCでは、テロメラーゼの触媒活性に影響は見られないが、テロメラーゼがカハール体でなく核小体に誤って局在するため、テロメアを伸長できない。DKC1変異型のiPSCを長期間培養し続けると、テロメアの短縮が進行し、最終的には自己複製しなくなることから、先天性角化不全症患者の組織幹細胞でも同様の過程が起こっていることが示される。先天性角化不全症患者由来のiPSCにおけるこのような知見は、未分化のiPSCが、ヒトの幹細胞疾患の特徴を正確に再現していること、また、標的療法の開発のための細胞培養を基盤とする系となる可能性を示している。

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