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生理:ナノメートル以下のスケールでは、密集した不動毛間に働く力が耳内部の摩擦を最小にしている

Nature 474, 7351 doi: 10.1038/nature10073

音の感知は、聴覚刺激に由来するエネルギーが有毛細胞の先端にある毛の束を曲げることによって開始される。毛束が動くと、不動毛とその周囲の液体の間に粘性摩擦が生じて、これは耳の高い感受性と鋭敏な振動数選択性にとって重要な物理的難問となる。この問題は、エネルギーを使って振動数選択的に音を増幅する能動的過程によって、ある程度解決が図られている。今回我々は、これを補完する解決策の1つが、毛束内部の液体と不動毛との間の流体–構造相互作用であることを明らかにする。スケール拡大モデルでの力の測定、有限要素解析、流体力学的力の解析による推定、確率的シミュレーション、毛束の高分解能干渉計測を使って、毛束の微小な曲げの際に個々の不動毛間に働く力の発生源と大きさを明らかにした。不動毛が接近して並んでいることが不動毛間の液体を静止させるのに効果があり、それによって抗力が弱まって、不動毛の液体を絞り出すような相対的動きは抑えられるが、すべるような動きは抑制されないことがわかった。毛束先端を結んでいる斜めになった結合が、機械的シグナル伝達チャネルとこの極小のエネルギー散逸的なコヒーレントな動きとを共役させており、また、水平方向の弾性のある頂端連結は構造を安定化して、さらに抗力を弱めている。数十ナノメートルの大きさの生理的刺激でのチャネル開閉に関連しているひずみ成分で測定されたように、毛束で粘性力と弾性力が均衡していることで、隣り合った不動毛間の、ナノメートル以下という小さな相対的動きが可能になっている。高分解能での実験と流体構造相互作用の詳細な数値モデリングを組み合わせることにより、毛束の基本的構造特性の基盤となる物理的原理が明らかになり、このような小器官が高感度の機械的刺激伝達の必要性にどのように適応しているかが定量的に示された。

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