Letter 遺伝:eRNAによって機能的に定義された異なる種類のエンハンサーによる転写の再プログラム化 2011年6月16日 Nature 474, 7351 doi: 10.1038/nature10006 哺乳類ゲノムには、細胞タイプ特異的な遺伝子発現プログラムを統御する数千の転写エンハンサーが存在する。しかし、選択的なシグナル依存的転写応答を起こすために、それらのエンハンサーがどのように使われるのかについてはほとんどわかっていない。本研究では、FoxA1のような細胞系譜特異的な因子が、アンドロゲン受容体(AR)を典型例とする主要な調節転写因子の促進と制限を同時に行い、構造的および機能的に異なる種類のエンハンサーに作用できる証拠を示す。その結果として、特定の進行性前立腺がんで予後不良の徴候とされるFoxA1の下方制御は、既定のエンハンサーの異なる集団へのAR結合で大規模な切り替えを起こすことによって、ホルモン応答の急激な再プログラム化を引き起こす。GRO-seq(global nuclear run-on sequencing)解析から明らかになったeRNA(エンハンサーを鋳型とする非コードRNA)の産生によって、これらのエンハンサーが機能的であることは証明されており、その中の独特な種類のグループは特異的なエンハンサー–プロモーターのループ化、および遺伝子活性化を誘導するためのヌクレオソームリモデリングを必要としないらしい。さらにGRO-seqの結果は、リガンドに結合したARが、転写の開始と伸長の両方を誘導することも示唆している。今回の結果を総合すると、動的な調整により選択的な遺伝子発現プログラムを惹起できる活性化エンハンサーが大量に貯蔵されていることがわかる。そうしたプログラムが、発生や細胞分化、疾病の進行における多くの連続的遺伝子発現の基礎となっているのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る