Letter

脳:前頭前皮質ドーパミンによる視覚皮質信号の制御

Nature 474, 7351 doi: 10.1038/nature09995

前頭前皮質は、トップダウン性注意の際に、後部皮質に入ってくる感覚情報を調節すると考えられているが、その基盤となる神経回路はほとんどわかっていない。実験的および臨床的な証拠は、前頭前皮質のドーパミンが、主にD1受容体を介して作用し、認知機能に重要な役割を果たすことが示されている。本論文では、マカクザル(アカゲザルMacaca mulatta)の視覚皮質内では、信号の前頭前皮質による調節にドーパミンD1受容体が介在していることを示す。前頭前皮質の前頭眼運動野で、D1受容体を介した活動を薬理学的に変調させ、視覚皮質V4野ニューロンの応答に対するその影響を計測した。この操作は、V4の視覚応答の大きさ、方位選択性や信頼度を、トップダウン性注意の作用として知られているのと同程度に増強するのに十分だった。このV4信号増強は、D1受容体操作によって影響を受ける視覚空間の部分と応答領域が重なっているニューロンに限って認められた。D1受容体あるいはD2受容体のどちらかを介した前頭眼運動野活動の変調により急速眼球運動の標的選択は増加したが、D2受容体操作ではV4信号の増強は見られなかった。これらの結果は、前頭前皮質による視覚皮質信号の制御に関与するD1受容体の役割を突き止めるとともに、前頭前皮質ドーパミンのかかわる精神障害で感覚野の情報処理がどのように変化しうるかを示唆している。

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